商業誌で刊行されていた川原つばさ先生の『東京ナイトアウト』シリーズの同人誌です。
『東京ナイトアウト』番外編主人公・池谷忍と二葉・フレモントがメインの本です。
2008年に発行されていたこの本、現在も通販で買えることに気付き、取り寄せしてみました。
この本には、商業作品『東京ナイトアウト』番外編『スイートダイアリーKISS vol.3』のその後の、二人でロスの大学(UCLA)に留学した忍と二葉の話が収録されています。
二葉の一人称の「side Futaba」(UCLA1年目)と忍の一人称の「side shinobu」(UCLA2年目)がそれぞれ1本。
他に1ページ分程度の小話数本が「東京ナイトアウトEXレシピ集」(大学卒業後)として収録されいてます。
一番長編なのは「side shinobu」。
忍と二葉が同居するロスのアパートに桔梗と卓也が遊びに来た翌日、桔梗と急接近中の悠が突然アパートに押しかけて来て…というお話。
卒業式で忍に「小沼は俺が貰う」と宣言した悠。
実際に悠と桔梗の距離が縮んでいることに、友情から嫉妬を覚えて情緒不安定になる忍。
この子はほんとうに中学〜高校の頃と変わらず、卑屈で面倒くさい性格なんだなあ〜もう〜。
お前は中学生女子か!と思う反面、自分が離れている間に親友が他の友達と急に仲良くなった時にそういう感情あるよね…って部分も有り。
この面倒な性格が人間臭いところが忍だと思います。(他のキャラが常識無死で基本的に迷わない人々だから余計際立つ忍の優柔不断さ)
商業誌本編からあまり精神が成長していないような忍に対して、二葉は随分と物分かりのよい奴になりました。
悠のことで苛立つ忍をフォローしつつも、お客の卓也の前ではちゃんとしろと嗜めたり。(二葉って桔梗を奪って行った卓也を昔は嫌いだったというのになんてまともな意見)
自分の腕にナイフ突き立てながら「好きって言えよ」と忍に迫った高校生時代からよく成長したものだ。
もっとも、留学後の二葉は忍に一番(一樹よりも)愛されてる自覚があるからこそ安定しているのかもしれません。
そういう意味では、一樹への想いを振り切り、二葉が一番だと彼にちゃんと実感させられている忍も成長したなと思います。
二葉の趣味は「恋人を甘やかすこと」だそうで、毎日忍にご飯作ってくれるそうです…なんだこの女子の理想のような攻様。
嫉妬で見境なくならない限りはいい恋人なんだよな〜二葉は。(嫉妬したり、忍を泣かせたい気分の時は縛ったりするようだけど…)
桔梗と悠とか一樹さんとアキさんとか本命がいても他の人間とちょっと色っぽいことになったりしているキャラばかりの中で、基本的に本命固定の忍と二葉のカップリングが一番BL王道感あって安心して読めます。
あと、忍と桔梗の友情も一生ものだよな、と。
忍と桔梗は中学からの付き合いで、厳密にいえば幼馴染みではないんだけれど、二葉も交えて三人で中学〜高校と多感な時期に色々冒険しているので、しっかりとした絆で結ばれているところがとても好きです。