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杉崎 ゆきる
角川書店(角川グループパブリッシング)
(2012-10-25)
コメント:杉崎ゆきる先生の新作。1巻表紙は主人公・兄の七糸。
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杉崎 ゆきる
角川書店(角川グループパブリッシング)
(2013-02-21)
コメント:2巻。表紙は弟の勇高。
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連休が終わる憂鬱。
杉崎ゆきる先生の新作少女漫画です。
散々言われていることなんですが『D・N・ANGEL』とか『ラグーンエンジン』とか『女神候補生』とか…他色々が休載中ですが新連載です。
これも休載するかもという覚悟をして読む必要あり。
タイトルは『1001』と書いて『ナイツ』と読みます。
「アラビアンナイト」すなわち「千夜一夜物語」から由来していそうです。
○あらすじ(ネタバレ有り)
(1巻)
高校生の七糸(ナイト)と勇高(ユタ)は似ていない双子の兄弟。
幼い頃に父親が家を出ていったため、二人は家業の探偵事務所を継いで生活していた。
二人の17歳の誕生日が近付いたある日、父親の探偵仲間アーサーが訪ねてくる。
二人の父親・森羅(シンラ)が仕事仲間からも消息不明になったというのだ。
そして、アーサーは森羅の仕事を継いでもらうため、二人をドバイに連れて行く。
森羅の仕事は、地球にくっついた亡霊の星(異世界)の国間で起きる戦争に干渉する「星の刻印者(エージェント)」だというのだ。
体に刻印を持つ者だけが亡霊の星と地球の行き来ができるといい、七糸と勇高の胸には刻印があった。
アーサーから星の話を聞かされたその夜、勇高は眠る七糸を「アルニラム」と呼び首を絞めようとする。
しかし七糸がドバイの市場で買った不思議な動く絨毯に邪魔され、勇高は意識が朦朧としたまま、亡霊の星へと繋がるゲート・イフタムへ向かう。
勇高がいないことに気がついた七糸は彼を追いかける。
イフタムで勇高を「サイフ」と呼ぶ謎の男が彼を連れ去ろうとし、追いかけて来た七糸を刺し殺そうとする。
七糸をかばった勇高は凶刃に倒れるのだった。
(2巻)
胸を貫かれ倒れる勇高を助けようとする七糸だったが、謎の男に邪魔をされる。
七糸も意識を失い連れ去られそうになった瞬間、ルバイヤートと呼ばれる長髪の男が現れ七糸を助けて連れ去る。
七糸を助けた男は自らを魔神と名乗り、七糸を「アルニラム」と呼び契約の指輪を無理やりはめさせる。
彼は「アルニラム」のためだけに生きる魔神であり、姿形が変わろうとアルニラムを愛していると七糸にキスをする。
ルバイヤートにキスをされ逃げだした七糸は崖から落下し、助けようとしたルバイヤートも七糸の「消えろ」という言葉に何らかの影響を受け消えてしまう。
不思議な絨毯と夜の砂漠を勇高を探して徨う羽目になった七糸は、賊に襲われかかったところをザムルという男に助けられる。
ザムルはとある国の王子つきの護衛で、七糸を「星の刻印者」と知り、奴隷の少女シャクトに”女”として保護するよう言い付ける。
しかしザムルの使える王子アソルトは、兄ザムルへの対抗心からシャクトの目を盗み彼が保護した七糸を連れ去ってしまう。
一方、謎の男アルフ・ライラアに連れ去られた勇高は、牢に閉じ込められていた。
目覚めた勇高に魔神アルフ・ライラアは彼の運命を語る。
亡霊の星で争う二つの国、ジャッハーとフェディナ。
二つの国に同時に跡継ぎが生まれた時、それぞれの跡継ぎが互いの国を滅ぼし合うという絶対的な予言があった。
そしてかつて親友同士だった二人の少女が、それぞれの国の跡継ぎを同時に産む。
ジャッハーの女王ラディーヤは王子サイフを、フェディナの王妃サビアスは王女アルニラムを。
同時に二人跡継ぎが生まれた場合、二つの国が滅びないように二人の子供のどちらかを魔族に差し出すことになっていた。
差し出される子供を選ぶ権利は魔族にあり、魔族は王子サイフを選んだ。
しかしジャッハーの女王は我が子と自国を助けるため、王子サイフの運命を代価にサイフを生まれ変わらせた。
その結果、女王ラディーヤは自身の意志とは関係なく、生命を維持するために「誰かの生命という”話”で、一夜を生きながらえる」体となってしまった。
ラディーヤに力を貸していたアルフ・ライラアは、王子サイフの生まれ変わりである勇高に、「君の母親のために、君の殺戮の話を聴かせろ」と迫るのであった――。
あらすじが長くなってしまいました…。
色んな伏線が小出しにされているので、自分で話の把握するために読み返しながらまとめました。
要するに前世モノのようです。
人間との間に生まれた禁忌の王女アルニラムと不吉な予言を受けた王子サイフ。
この二人が地球の七糸と勇高という双子の兄弟に生まれ変わった。
サイフは2巻終盤で魔神アルフ・ライラアが語ったとおり、魔物に殺されるはずの息子を母親が契約によって生まれ変わらせた。
しかしその代償として母親の女王ラディーヤは誰か一人の命を捧げられ一夜を生き延びる体になってしまった。
アルフ・ライラアは息子サイフの生まれ変わりである勇高に、母親のために殺戮をするように迫っている。
『千夜一夜物語』は王妃を一夜で殺してしまう暴君に嫁いだ王妃シェヘラザードが、毎夜話を王に聞かせることで、千夜一夜延命する話。その辺りとかけてるのかな。
アルニラムの方も「人間との間に生まれた禁忌の王女」で、「母の命の時間を引き換えに」サイフと同時に生まれ変わったらしいので、何かしらの代償を背負っているのかも。
因みにラディーヤに力を貸した魔神アルフ・ライラアは、アルニラムの魔神ルバイヤートと敵対していたようなので、サイフ側の魔神アルフ・ライラアとアルニラム側の魔神ルバイヤートという対立構図なのでしょう。
今後の展開としては前世を全く覚えていない七糸と、前世の記憶を取り戻しかけている勇高が対立するんじゃないかなーという予感です。
勇高が闇落ちする気配が濃厚。
ただ、勇高(サイフ)はどうも七糸(アルニラム)が好きっぽいので、泥沼愛憎劇なのか…?
七糸を保護したザムルとアソルト兄弟のいざこざにも巻き込まれそうな展開だし、終わりが全く見えないですね。
あらすじや設定を見ればわかるのですが、七糸の前世が王女アルニラムという設定のためか、限りなくBLに近い少女漫画風です。
ヒロインに当たる女の子がアルニラムしかいない。
勇高は七糸に意味深な感情を抱いているようだし(アーサーに「お前達は確かに血は繋がっている」と釘を刺されたり)、ルバイヤートはアルニラムにぞっこんのようだし。
ところで、七糸は日本を離れてから「やたら女の子に間違えらる」という設定なのですが、絵柄的にはそうでもないです。
(杉崎先生の絵なんで可愛いんですけど、あくまで”可愛い男の子”なんです)
ザムルが一計を案じて女装させるんだけど、別に女装に見えない。
これもなにかの伏線なんだろうか。
因みに、アルニラムもサイフもオリオン座の星の名前です。
アルニラムがオリオンの三つ星の一つでアラビア語で「真珠の連なり」。
サイフはアラビア語で「巨人の剣」。
キーワードは星なのかな。