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原 点火
講談社
¥ 680
(2013-01-23)
コメント:島田荘司の御手洗潔シリーズのコミカライズ
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ミステリ界の大御所・島田荘司作の探偵・御手洗潔を主人公とした人気シリーズのコミカライズ版です。
『SHERLOCK』からホームズ・パステイーシュ『漱石と倫敦ミイラ殺人事件』(島田荘司)ときて、最近御手洗潔シリーズがコミカライズされたのを知りました。
もう昔のことなのでウロ覚えなのですが、90年代後半〜00年代初頭にかけて、日本でミステリブームというのが起きていてていました。(ちょうど講談社の文芸誌『メフィスト』が創刊された頃)
ミステリは(ミーハー)少女向け文学雑誌『活字倶楽部』でも度々特集を組まれ、若い女性の間で京極夏彦や有栖川有栖、そして島田荘司の作品が人気を博していた記憶です。
因みに、当時から島田荘司先生はミステリ界の大御所でした。
私も超ミーハー読者だったので、そのブームがきっかけで有栖川有栖や島田荘司を読み始めました。
個人的に若い女性に受けやすい作品に共通するのは、ミステリとしての面白さは当然のこととして、探偵とワトソン役(語り手)のキャラが立ってる作品だったと思います。
御手洗シリーズも変人奇人型名探偵・御手洗潔(ミタライキヨシ)と彼に振り回される常識人にして記録者・石岡和己のコンビが、奇想天外な事件に挑む、という筋立てです。
今回コミカライズされたのは「糸のことジグザグ」、「傘を折る女」という短編二編。
御手洗シリーズは長編もたくさんありますが、いきなり漫画化するには長すぎるという判断なのでしょうか。
1レコード「糸のことジズザグ」(ちょっとネタバレ)
リスナー参加型ラジオ番組で、意味不明な詩の朗読をしたリスナーがいた。直後、番組DJ林の元に謎のリスナーから「さっきの詩は自殺予告だ」と指摘の電話が入る。
過去の経験から、自殺を止めたいと考えた林は、リスナー達に詩の意味について意見を募り、自殺予告をした男を止めようとするが…。
御手洗潔初登場回ですが、彼はこの話では安楽椅子探偵(行動を起こさず林に助言を与えるだけ)。
ビジュアルが飛びぬけてる(睫毛すげえ)のでインパクトのある登場だったのではないでしょうか。
活動的なDJ林が主人公で、御手洗との出会いからコンビを組むのか?と思わせられそうな展開。(だが、違うのだ)
2レコード「傘を折る女」
馬車道の事務所で退屈を持て余している名探偵・御手洗潔と同居人の石岡君。
ラジオで、雨の中傘を車に轢かせて折り、壊れた傘を持ってずぶ濡れで去って行く謎の女の目撃談が寄せられる。
御手洗は傘の女の行動は、殺人現場から逃走するためだと推理する。
果たして、目撃が寄せられた地域で殺人事件が起きたことが判明するが、御手洗の推理とは異なる状況も明らかになり……。
2話目にしてワトソン役・石岡君の登場です。
とは言っても、石岡君は記録者としてしか役に立たない(失礼)方なので、彼視点一人称の体裁をとる必要のないコミカライズにおいては、ただの驚き役と化しているような…。
フォローするなら石岡君は事件解決の相棒(援護、情報収集等)としては役に立ちませんが、おさんどん役としては比較的有能です。まあ、事件解決に関係ない能力なのが悲しいですが。
1話目より「傘を折る女」の方が謎解きは魅力的だと思います。
御手洗の推理を飛び越えた不可解な状況、その状況はいかに形成されたのか?を解きます。
絵は青年誌風で(やや女性向けっぽい?)、御手洗の日本人離れした風貌をよく表現していると思います。
石岡君のビジュアルはちょっと意外だった。もっと覇気のない優男イメージだった。
でも今のところ本当に驚き役でしかない。
島田先生の作品のコミカライズというだけあって、帯の推薦文も綾辻行人と法月綸太郎と豪華。
しかし法月先生の「新生ミタライ降臨は「シャーロック」への挑戦状か!」には吹きましたw
そう言えば、若い御手洗さんがスマホ使ってますね。(御手洗シリーズは現実と同時進行で時間が進む設定なので、御手洗さんは現在60代のはずなのです)
以下はミステリとは関係ない雑談になるのでたたみます↓