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高田 裕三
講談社
(2010-07-09)
コメント:懐かしの3×3EYES文庫版。
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本屋さんで文庫版が並んでいた懐かしの「3×3EYES」。
完結している作品なので、ネタバレ上等&読んでないとわからない内容でお送りします。
「3×3EYES」は、強大な力を持つ”三只眼吽迦羅”という三つ目の妖怪の生き残りの少女・パイと、パイのしもべ「无(ウー)」となり不死身となってしまった少年・藤井八雲が、パイを人間にするために旅をする話。
パイは三只眼吽迦羅の中でも強い力を持つ「パールバティー」であったため、闇の世界の妖怪達がパイの力を狙って襲来。
敵をなんとかかわしていくうちに、300年前に殺戮の限りを尽くして封印された三只眼吽迦羅の王”鬼眼王”、その无ベナレスが、パイを狙って暗躍していることを知る。
そこから、パイと八雲の”鬼眼王”との長い闘いが始まったのだった――!
大まかなあらすじは↑なんですが、本当に長〜〜〜〜い話です。
単行本40巻、漫画文庫版全24巻という長さ。
構成は全4部で、パイと八雲の出会いを書いた第一部、記憶喪失になったパイと八雲が記憶を取り戻すために聖地へ赴く第二部、パイの記憶を媒介にして300年前の過去の世界へ行く第三部、”鬼眼王”勢との死闘を描く長い第四部、となっています。
四部が12巻〜40巻までに当たり・・・すっごく長いです。
”三只眼吽迦羅”というのは長命な多重人格の種属で、パイもオリジナルの人格(八雲は「三只眼」と呼ぶ)と、三只眼が生み出したもう一人の人格(八雲は「パイ」と呼ぶ)がいます。
天真爛漫で無邪気なパイと、高慢だけれどだんだんと心を許してくる三只眼・・・一挙両得な二重人格!
「三只眼」は正統派のツンデレです。早すぎたツンデレ。しかもツン期間が長い。
でも、その分デレる過程とデレた後がとても可愛い。
パイも明るく元気で可愛い。
八雲はパイとだけで、実質2人の女の子と付き合ってるようなもんだ。
主人公の八雲の周りには結構、好意を寄せる女性陣がいて、綾小路葉子や夏子、美星他・・・羨ましいやつめ。
中でも、”化蛇”こと綾小路葉子ちゃんが一番好きです。
何故なら「3×3EYES」は第二部から読んだから!
第二部は、ベナレスとの闘いで施された術により、記憶を失ったパイが記憶を取り戻すために聖地へ向かう話。
記憶をなくしたパイは日本人の老夫婦に引き取られ「綾小路ぱい」として平穏に暮らしていたのですが、八雲の登場により自分が人間でないことを知り、記憶を取り戻すことを決意します。
なんやかんやあって記憶を取り戻す方法がわかるのですが、それは「綾小路ぱい」にはつらい選択でした。
ベナレスがパイの記憶を封じるために施した術は、術式に姿を変えた妖魔”化蛇”にパイの意識を乗っ取らせるというものでした。
つまり、ずっと自身をパイだと思っていた「綾小路ぱい」は、自分の正体がパイの意識を乗っ取っている”化蛇”だと知るのです。
術が不完全だったため”化蛇”としての記憶をなくし、「綾小路ぱい」として生きてきた記憶を持つ”化蛇”は、八雲のために主であるベナレスに逆らい術を解くことを決意。
解かれた術によって完全に目覚めた「三只眼」は、化蛇に人間の姿をとらせ記憶を封印して人間「綾小路葉子」として生きていくよう取り計らいます。
自分がパイじゃないとわかった時の化蛇がすごく切ないんだわ。
葉子ちゃんはこの後、パイと八雲の闘いに巻き込まれ化蛇の力を使って八雲達の味方になったり、人質をとられて八雲達を裏切ったりするんですが・・・割愛。
結構出番も多いし重要キャラの一人です。
「3×3EYES」最終回では結局パイは人間にはなれず、精神体なった八雲の帰りを待ち続けるとうラストです。
長かった割に微妙にハッピーエンドとは言い難いけど、完結してよかったよね。