『M○』原作をネット注文した翌日に、コンビニでコンビニ版を発見してしまった・・・。
まあ、コンビニ版は解説ついてないので、文庫版は文庫版で届くの楽しみにしています。
原作は美知夫が恐ろしい犯罪を重ねているというのに、どこか可愛いという悪魔的魅力がすごくあふれ出てました。
賀来神父は思ってたよりも正義と行動の人だった。
何より映画版と違うのは澄子の存在。
彼女はか弱そうに見えて、作中一番したたかだったんじゃないかと思う。
美知夫に利用されてるとわかっていても、犬との・・・を目撃しても、大臣の娘と結婚してしまっても美知夫を諦めないという意味でへこたれなかった。
賀来神父との関係を知ってもショックを受けるよりも「げー」だし。(ここは一番精神強!と思ったところ)
(そもそも、犬との・・・を見てしまった時点でのぞきに懲りるかと思ったら、むしろがんがん行動してた)
あの執念はある意味、美知夫をも凌駕していると思う。
そこが魅力で、美知夫も大して利用価値がないように思える澄子を”おもちゃ”として側においてるんじゃないかな。
賀来神父は美知夫の魅力からは逃れられないし、好意を寄せていた澄子は美知夫に惚れちゃうし、つくづく哀れというか滑稽な人。
でも、そんなに犯罪に加担していた感じはしないし(社長誘拐の時も復讐という大義名分抱えてたから)、最後に美知夫を止めようと行動する所は逞しくも頼り甲斐もあった。
彼は狂った美知夫のためと、彼自身の正義を満たすために心からガスと心中したと思う。
賀来神父が飛び降りて美知夫が「賀来!」と叫んで涙を流したシーンがすごくよかった。
美知夫にとって、賀来神父はの唯一の心揺られる相手であり、唯一の脅威だったというのがよくわかるラストだった。
あと印象強いのが島の墓所のボンベが空だった場面。
穴を覗き込んだ美知夫の「M○がなかったって・・・!」という顔がすごく怖くて、ガスに対する執着をよく表れてた。
漫画なせいか、シリアスな話なのに時々思わず笑ってしまうようなシーンもあったけどね。
賀来神父の「合格?何の合格?」には笑ってしまったなあ。
あそこ笑っていい所なんだろうか。
不思議に思ったのは、美知夫と兄の確執(?)
美知夫は兄に何か憎しみ的な感情を持っていたような伏線があるのに、その部分は解明されないのは何でだろう。
兄は最後のそっくりさん作戦で活躍するので、余計兄との関係が語られてないのが不思議。
世間で言われているように、原作と映画とはかなりの別物でした。
映画→原作で入ったので、原作は原作、映画は映画で割り切れそう。
映画はあくまで「based on ○W」なんだよね。
ガス設定とエピソードと悪魔の兵器に狂わされた人間設定を拝借にした、玉○宏ダークヒーローもの、というのが一番しっくりくる。
原作の美知夫は格好よくも小悪魔的な可愛いさがあるけれど、映画の結城はひたすら格好よいクールビューティー(時々無邪気)。
映画結城が基本超クールなので、話の進めやすくするためにも原作の賀来神父よりも唯唯諾諾と従ってしまう感じのネガティブ賀来にしたんだろうなあ。
ネガティブ賀来は、説教というよりも「でも・・・、だって・・・」なイメージ。
賀来神父と映画の賀来はキャラカテゴリーが違い過ぎて、全く別人でした。
と、原作と映画を比べてももはや詮無いことなのに、比べてしまうのは原作付作品の宿命と感じます。